▼夏のスパイスであそぶ|第6回
OSAJI JOURNALでは、「朝夕」という屋号で料理を探求しているりえさんに、月に1度、その時の探求結果を発表してもらう場を設けました。その名も『お料理あそび』。野菜や野草や、季節の香り。軽やかに地球の素材を楽しむりえさんの、その旅路をお裾分けします。
朝夕の松井理恵です。
日々、素材やお料理を探求し、お料理教室をしたり、ときどきお料理を振る舞ったりしています。
第6回目、8月のテーマは「夏のスパイス」。
スパイスは強いイメージがありますが、今回ご紹介したいのは「労り系スパイス」。
スパイスで癒される、というと不思議な感じがするかもしれませんが、スパイスは元々ハーブと同じように身体を整えるために使用されてきたもの。
夏バテやむくみに役立ちそうなスパイスを使った、「夏のスパイスあそび」をご紹介します。
Tips1/夏スパイスは“飲み物”であそぶ
夏の労り系スパイス。まず私がご紹介したいのは、飲み物。
スパイスって、飲み物であそぶのが楽しいんです。
カレーやお料理のために買って余ってしまい、使いきれないスパイスは、飲み物に入れてみてください。
炭酸水に加えてみたり、コンポートを作るときに入れてみたり、飲み物とスパイスの組み合わせは無限。臨機応変にあそべます。
〈スパイスドリンクのマインドマップ〉
おすすめは、スパイスソーダとスパイスビール。
このマインドマップの右側、スパイス欄から好きなものを選んで、炭酸水に合わせるとスパイスソーダに。お好みのビールに合わせるとスパイスビールに。
特に夏におすすめのスパイスは、体を冷やす効能がある「カルダモン」。
青い柑橘の季節でもあるので、レモンやライム、酢橘、青柚子を合わせても良いですね。塩を少し入れると、しんどい体がスッキリします。
作り方は、選んだスパイスを石臼やすり鉢で潰して、飲み物に入れるだけ!
ミントやバジルも一緒にすり潰して、レモン汁なども一緒に加えてペースト状にしてから飲み物に加えるのがおすすめです。
スパイスビールが初めての方は、普通のビールにスパイスを1粒、少しだけすり潰して入れてみてください。それだけでも香りがふわっと広がり、風味が変わります。
ソーダはなんでも相性が良く、バジルを入れると緑色に、ターメリックを入れると黄色になるので、色の変化を楽しむのもいいですね。
あとは、スパイスコーヒーも楽しいのでおすすめ。
フィルターの最初にスパイスを仕込んでコーヒーの粉を入れ、あとは普通にお湯で淹れるだけ。私は、シナモン、カルダモン、八角を合わせるのが好きです。
Tips 2/“ゆかり”とスパイス
6月に梅干しを作った人は、“ゆかり”がたくさん家にあると思います。
実は、ゆかりとスパイスの組み合わせも、とっても面白い!
作り方は、炒って潰したスパイスとゆかりを合わせてそのままご飯にかけるだけ。
特に合う組み合わせは、クミンやコリアンダー。
あとは、キャラウェイシード、フェヌグリーク、花椒、山椒、クローブ、カシア、ごま、陳皮、ローズあたりでしょうか。
本当に簡単なので、1種類だけでなく、実験のつもりで、いくつか組み合わせて楽しんでみてくださいね。
ちなみに、スパイスは粉で買うと2〜3ヶ月で香りがなくなってしまって勿体無いので、ホールの状態で買うのがおすすめ。そうすると1年以上はもつので、あまり使わない人はむしろ、ホールで買ってその都度すりつぶした方が長持ちします。
Tips 3/身体を労わるスパイスカレー
私は、ほっこりしたスパイスカレーが大好きです。
特別なカレーというより、日々の身体を整えるもの。
感覚的にはお味噌汁のような感じでしょうか。
あまり辛くしたりせずに、シンプルに、やさしく。
自分の身体の調子に合わせて、スパイスカレーをつくります。
消化を促進してくれるターメリックやクミン、少し辛くしたい時は、チリペッパーと、好きだったらパクチーを刻んで。
その中から今日は、『冬瓜、トマト、豚肉のカレー』のレシピをご紹介しますね。
冬瓜は、冬の瓜と書くけれど、実は「冬までもつ」という意味で、本来は夏のお野菜。体を冷やしたり、湿度を払ってくれたりします。
冬瓜、トマト、豚肉のカレー
【材料】 2人分
冬瓜 200g
トマト 200g
玉ねぎ(みじん切り) 100g
豚肉(肩ロース、スペアリブなど) 200g
塩 少々
フェンネルシード(ホール) 小さじ1
コリアンダーシード(ホール) 小さじ1
オイル 大さじ1
水400ml
ローリエ 1枚
カレーパウダー 小さじ2
チリパウダー少々または赤唐辛子 1本
塩 小さじ1/4〜
【作り方】
1 冬瓜は皮をむき、薄切りにする。トマトはざく切り、 玉ねぎはみじん切りにする。
2 豚肉は食べやすい大きさに切り、塩で下味をつけておく
3 Aをフライパンに入れ、弱火で香りが出るまで炒める。
4 生姜、玉ねぎを加え少し色づくまで炒める。豚肉、カレーパウダー、チリパウダーを入れ、分量の水を加え、ローリエを加える。
5 冬瓜が柔らかくなるまで煮込む。
また、黄色いターメリックライスは、ご飯を炊くときに、ターメリックを振ってあげるだけで出来上がるので、とっても簡単。梅酢やレモンを合わせると、味が締まります。
今回は、シンプルに豚肉に合うスパイスを使用していますが、全部入れなくても良いし、使ってみたいスパイスを合わせても良いです。
お家のスパイスカレーは、好きなカレーパウダー+好きなホールスパイスで十分!
スパイスはどんな組み合わせにしても調和します。特にカレーは、どんなスパイスにも合うし、包容力抜群。果物や甘味と合わせてもいいです。
今回は、「夏のスパイス」についてお届けしました。
スパイスは、組み合わせ次第で、あそべる要素が本当にたくさん。実験しながらお料理を楽しんでくださいね。
PROFILE
松井理恵
「朝夕」主宰 | 料理研究家
三重県生まれ。様々な食の仕事を経験後、味と香りの幅を広げるためドイツに2年半滞在し、表現としての食のあり方に触れる。現在は滋賀県を拠点に「朝夕」という屋号で料理教室、料理会、レシピ開発、食まわりのコーディネートなどを行なう。