2024.4.1

Make Education Project|SPECIAL REPORT

だれも教えてくれない「化粧」のこと

子どものころは「おませさん」といわれるのに、大人になると「身だしなみ」や「マナー」といって、ちゃんとしなさいといわれる。かといって大人になるまでの間に、その方法をきちんと学ぶ機会もない。だからこそ、子どものうちからメイクの考え方や選択肢、方法論を学ぶ機会があってもいいはず。そうやって生まれたのが、OSAJI ブランドディレクター 茂田正和による「メイクエデュケーション」プロジェクト。

今回、群馬県前橋市の〈上毛新聞社〉が発行する子ども新聞「週刊風っ子」編集部さんからお声がけいただいたことを機に、小学生に向けた体験企画を開催しました。メイクを終え、いつもとは違う自分の姿と向き合った子どもたちは、それぞれにどんなことを感じたのでしょうか。



「わたし」を表現するための術を身に付ける

モデルとなるのは3人の小学生の女の子。保護者の皆さんが見守る中、OSAJIメイクアップアーティストによるメイクに始まり、撮影チームによるスタイリングやヘアセット、撮影までの一連の流れを体験していただきました。

ピンクのアイシャドウとアイライナーで作る目元がポイント。同じピンクでも異なる質感を重ねることでより立体的に。

「リップとチークは持っているけど、アイシャドウは今日が初めてだから楽しみ」(HARUKA さん/5年生)

好きな色のイエローとブルーを取り入れたメイク。まぶたに引いたカラーラインにも注目。

「こんなにメイクもいろんな種類があるなんて知らなかった。キラキラしていてすごくきれい」(YUZUKIさん/4年生)

つや感のある肌を生かしたブラウンメイクで大人っぽいクールな印象。

「あんまりばっちりしたメイクはやったことがないので、やってみようかなと思って。なんか、いつもの自分じゃないみたい」(MISAKIさん/6年生)

「今日は、みなさんに好きな色をお聞きしながら一緒にメイクのポイントを考えていきました。似合う色を探すのも良いですが、好きな色をとことん突き詰めて楽しむのも、カラーメイクの醍醐味。そのためにも10代のうちから自分に合ったスキンケアを見つけておくと良いですよ。肌状態がちゃんと整っていれば、ベースメイクにそこまで時間をかけなくて済むので、カラーメイクを楽しめる時間が増えるはず。水分バランスを整えながら、しっかり保湿をしてあげることが大切です。メイクをしているお子さんを見たら、愛情たっぷりの言葉をかけて、そして心も抱きしめてあげてください。きっと自信に満ちた瞳に変わるはずです。」(OSAJIメイクアップアーティスト 後藤勇也)


どんな自分も楽しんで、好きでいられるように

「メイクエデュケーション」とは、メイクのプロセスよりも先に「なぜメイクをするのか?」という問いを立てるところから始まります。メイクを紹介する情報は世の中に溢れているけれど、自分にとってのメイクのあり方、正しい化粧品選びを子どもにもちゃんと伝えていきたい。このプロジェクトはそんな思いからスタートしました。

「大人になるにつれ、なんとなく化粧をするようになる人は多いものの、自分の良さを引き出すメイクや個性を表現するメイクをちゃんと学ぶ機会はほとんどありません。なんとなく見よう見まねでやったりしながら、あるいは自分で模索しながら身に付ける人がほとんどでしょう。

それに、子どものうちはダメといわれ続けてきたものが、社会人になった途端に化粧することを求められるようになる。そこでいわゆる“メイク迷子”になる人が出てくるのは当然のことですよね。だからこそ、子どものうちから化粧についてちゃんと学べる機会があるといいなと思ったんです。

メイクエデュケーションの中で1番伝えたいと思っているのは、他人のためのメイクよりも先に、まずは自分のためのメイクであってほしいということ。そして、自分の魅力が新たに引き出される感覚や楽しさを知ってほしい。そんなふうに願っています」(OSAJIブランドディレクター 茂田)

カメラを向けると、大人っぽい表情や繊細な仕草を見せたり、堂々としたポーズを取ったり。

「なんだかすごく堂々としてる」
「うちの子ってあんな顔するんですね」
「普段とは違う自分を楽しんでいるみたい」

メイク前とは明らかに違って見える3人を見守る保護者の方々。

「写真を撮られるときの彼女たちは、自分をどう見せたいかという意識が働いているように見えます。みんなそれぞれにアイデンティティを持っているんだっていうことにも改めて気づかされるというか。メイクエデュケーションでは、子どもたちに教えるといいながら、結果的には僕ら大人が毎回勉強させてもらっているようにも感じます。

今回の写真撮影は、ある種のテンプレートの中で行うメイクやスタイリングではなく、子ども達自身が見ている世界の中で表現し、体験してもらうことが重要でした。リアリティのある表現でなければ意味がないと思っていたので。

日本人はどうしても自己表現が苦手だけれど、自分を表現することは何も恥ずかしいことじゃない。だからメイクをした自分と向き合ったときも、こんな自分も良いな、悪くないな、ぐらいに思ってもらえたら。自分のことを素直に認められるようになれば、誰かに対してもきっと同じような感覚が生まれるはず。多様な文化というのは、一人ひとりの個性を尊重することによって生まれていくものだし、そういった可能性を作っていくことが化粧品ブランドの役割でもあると考えています」(OSAJIブランドディレクター 茂田)

最初はここに来るのにとっても緊張したけど、メイクしてもらって気持ちも明るくなりました。メイク道具を揃えていきたいなって思ったし、これからは自分でもやってみたいなと思いました。あとはモデルさんが将来の夢の候補のひとつになったかも。顔の表情を作ったりポーズしたりするのも楽しかったです(HARUKAさん/5年生)

いろんなプロの人に写真を撮ってもらったり、メイクをしてもらったりして嬉しかったし、メイクにもいろんな種類があって、他にもあるのかな。みたいな感じで勉強にもなったし、写真もとっても良い感じに撮ってもらって、楽しかったです(YUZUKIさん/4年生)

メイクしてもらって、新しい自分を見つけた気がして、自分はこういうのも似合うのかもって思えました。メイクをして自分の良いところを生かして、もっとかっこいい自分、かわいい自分を見つけたいです(MISAKIさん/6年生)

〈メイクエデュケーション〉


自分にとってのメイクのあり方、正しい化粧品選びを子ども達にも伝えていきたいという思いから2022年にスタートした、OSAJI ブランドディレクター 茂田正和によるプロジェクト。


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〈上毛新聞〉

上毛新聞社が発行する群馬県の地方新聞。本誌とは別に、毎週日曜日発行の子ども新聞「週刊風っ子」では、身近なニュースや旬な話題で地域や世界に興味を広げるニュースを届けている。
https://www.jomo-news.co.jp/

Text:Haruka Inoue