▼日常のなかにある「おもしろさ」 | 第1回

OSAJIで、新商品のパッケージやイメージビジュアルのディレクション、カタログ制作など、ブランドにまつわるデザインの仕事をしています。デザイナーという仕事に就いた今、これまでのことをいろいろと振り返ってみると、私の身の回りには昔から「デザイン」のカケラが散らばっていました。何気ない日常の中で出合ったものや、触れてきたもの。今の自分をつくっている、それらものたちのお話を、ほんの少しさせてください。
OSAJI デザイナー
田渕茉央
第1回
日常のなかにある「おもしろさ」

職業柄なのか、視覚的なアンテナは敏感で、常にキョロキョロしながら歩いています。
街で出合う違和感や異質な雰囲気にワクワクするのです。たとえば、商店街のウィンドウに貼られたお店のおばちゃんお手製ポスター、不思議なフォントの文字、道端に落ちている変なもの。最近のお気に入りは、地面に落ちていた、ぺしゃんこにつぶれたネギです。

休みの日にはバスに乗って知らない場所にでかけて、ふらっと降りた先を歩いてみたり、電車で帰ったほうが圧倒的に早い道のりを、景色を眺めながら散歩したり。
耳では音楽を聴いて、外をみてぼーっとしているなんでもない時間に感じた、形のないものをとらえる時間が好きだし、大切にしています。
どこかで、自分の感覚がマジョリティではないという自覚があって、だからデザイナーとして、テーマに対してのアウトプットを考える時には、そのクリエイティブの先にいる誰かに憑依して考えるようにしています。人間観察も好きなので、普段からいろんな人の仕草や行動をよくみています。

突飛なことや非日常の世界ではなく、日常のなかにあるオモシロさや、目の前の景色を視点を変えてみることで、新鮮さを感じる。そのことに心地よさを感じて過ごしてきたのだなと思います。そして、その感覚は、OSAJIの醸し出す空気感とも親和性があるのかなと、今ふと感じています。
次回は、少し昔の「デザイナー」という職業を意識し始めた頃の、わたしのカケラにまつわるお話ができたらと思います。
PROFILE
田渕茉央
OSAJI デザイナー
高校・専門学校とデザイン科でグラフィックデザインやパッケージデザインについて学んだのちに、デザイン事務所勤務を経て、2024年に「OSAJI」に入社。パッケージや販促物などのデザイン業務を中心に、撮影ディレクションなどクリエイティブ全般を担当する。
Interview:Ayumi Oguma