▼5月はフレッシュハーブティー | 第3回

ハーバリストである葉子さんの「くらしを綴る植物たち」をご紹介するコラム連載。葉子さんが暮らしと研究を行う京都のハーブガーデンから、毎月、暮らしに寄り添った季節のハーブ処方と、その楽しみ方をお届けします。


5月はフレッシュハーブティーを。

とうとうこの季節がやってきました。フレッシュハーブが庭のあちこちで、新鮮な香りを振りまき始めています。

待ちきれずに早朝の庭に出ると、ライムグリーンの水彩絵の具で描いたようなハーブたちが、私を出迎えてくれます。

今日のハーブのお楽しみは?

朝食を作り、家族を送り出す慌ただしさが一段落したら私だけの時間。リビングの窓を開けると、レースのカーテンを揺らしながら優しくハーブ香る風が吹き込みます。

愛用のガラスのティーポット、籐の手籠、はさみ。準備が整ったらハーブたちとお話の時間。今日はどのハーブが一番輝いているかしら?私が今日味わいたいのは、どのハーブの香りかしら?


〈5月のハーブガーデンブレンド

アップルミント 2枝
レモングラス 50㎝
レモンバーベナ 1枝
コモンセージ 4枚
ローズゼラニウム 花1輪リーフ1枚

〈美味しいフレッシュハーブの淹れ方

摘みたてのハーブを汲み水でそっと洗い、平ザルの上に置いて、そのまま水を切る

アップルミント、レモンバーベナ、セージはリーフのみをポットに入れる(リーフは形のままちぎらずに入れる)

レモングラスは3センチ程度にカットしながらポットに入れる

ローズゼラニウムのリーフも形のままに、花もそのままポットに入れる

沸騰した熱湯をポットに一気に注ぐ

すぐに蓋をしてポットを優しくゆすり、ハーブと熱湯を馴染ませる

1~2分蒸らし、カップに注ぐ


熱湯の中でハーブが浮いてしまうと、酸化して美しいハーブの色が悪くなってしまうので、5.の行程で、蓋をしてお湯とハーブを馴染ませます。必ず優しくポットをゆすってくださいね。

中でもフレッシュのレモンバーベナの爽やかで瑞々しい香りはドライでは決して味わうことのできない美しさです。フランスでレモンバーベナは「ベルベーヌ」と呼ばれ、生クリームやバターをたっぷり使うフランス料理と組み合わせると、お口の中の脂分を洗い流し、お料理をさらに引き立たせるハーブとして愛されています。

ポットの中で、ハーブの香りを映し込んだお湯は、エメラルド色に輝き始めます。カップに注ぐと、美しく透明感のある香りがカップから溢れ出します。その香りと味わいは、命そのもの。優しく、純粋で、エネルギーに満ち溢れています。

フレッシュハーブティーの想い出

私とフレッシュハーブティーとの初めての出会いは、ハーブの恩師である谷口多恵子先生(享年60歳)の講座にはじめて参加したときの事。27年前の私は、フレッシュハーブティーどころか、ハーブティーを飲む事も初めてでした。

それまで図書館に通い詰め、蔵書からスケッチして情報をノートに書き留めてきたハーブたちが、私の目の前で薫り高く息づいていました。

逞しく育つ雑草のように力強く、でもどこか繊細さを感じるハーブたちが、ポットの中で驚くほどのエネルギーを溢れさせて、私を圧倒し魅了したのです。

その出会いの時からずっと、私は庭にハーブを絶やすことなく育てています。

6月は、ハーブチーズとバターづくりを楽しみましょう。来月もハーブの庭からお話しします。


PROFILE

葉子

ハーバリスト

ハーブスクール&プロデュース ウィズハーブ 代表、NPO 法人日本ハーブ振興協会 主席研究員 、財団法人日本家庭園芸普及協会 グリーンアドバイザー、NHK 学園 ハーブ生涯学習 1 級インストラクター、H15 日本園芸協会 ハーブコーディネイター部門 最優秀成績賞受賞。ハーブ講師として、全国のセミナーや講演会においてハーブを広く普及させるための活動を行う傍ら、ハーブ研究家として各地のハーブガーデンのプロデュースや商品開発、NHKをはじめとするメディア出演、ハーブ専門誌でのコラム執筆などを手がける。


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