▼神社とスキンケアブランドのコラボレーションが生み出す新たな価値とは。 | SPECIAL REPORT

スキンケアブランドである“OSAJI”と、安産・子育ての神様を祀る神社“山名八幡宮”のコラボレーションによって誕生した「BAR SOAP TSUNAGU(固形石けん)」。両者を引き合わせた共通項には、古来から受け継がれる「母と子のつながり」がありました。今回は、この特別なコラボレーションに込められた想いを深掘りしながら、先日開催された製品発表会の様子もお届けします。
化粧品開発の原点は「母」。OSAJIのブランドルーツとは。

OSAJIは創業以来、健やかで美しい皮膚を保つための化粧品開発を軸に、ライフスタイル全体を提案するブランドとして、多様な活動を行ってきました。
OSAJIブランドディレクター兼創立者である茂田正和が化粧品開発を始めたのは、2001年のこと。その背中を押したのは「母」の存在でした。文化や芸術の師として仰いでいた母親が交通事故のストレスで皮膚トラブルを起こし、愛用していた化粧品が使えなくなったことを機に、茂田は皮膚科学を学び、自宅のキッチンで化粧品づくりをスタート。
それから複数のブランドを経て、2017年に誕生したのが、スキンケアとライフスタイルの関係に着目した「OSAJI」です。アレルギーに対してリスクのある成分は極力排除し、企画・開発・製造・販売を自社で一貫して手掛ける背景には、ディレクター自身が母親のために化粧品を作った当時の「想い」が受け継がれているのです。
OSAJI×山名八幡宮を引き合わせた、飛鳥時代の「母への手紙」

一方、群馬県高崎市に位置する山名八幡宮は、今年で創建850年を迎える安産・子育ての宮。27代目の宮司となった高井俊一郎さんのもと、地域に開かれた神社を目指して、子連れでも気軽に立ち寄れるキッズ・マタニティカフェ「mico cafe」や、安心して食べられる天然酵母と国産小麦を使ったパン屋「PICCO LINO」の運営、発達障害を持つ子どもたちへの支援活動など、多様な取り組みを行っています。また、2015年には第一線で活躍する建築家やデザイナーと共に社殿や授与所をはじめ、社紋やお守りなどをリニューアルし、グッドデザイン賞を受賞(2017年)。時代に合わせた進化を遂げています。

群馬県高崎市で育った茂田にとって山名八幡宮は、幼少期の遊び場でもあり、親しみのある地域の風景でした。
同じ土地にルーツをもつ両者が出会ったのは、茂田が化粧品開発を始めてからのこと。職業的にはまったく異なって見える二人ですが、社会のために行動を起こす同志として、義務教育現場で禁止されていた子供向け日焼け止めの自由化に関する取り組みや、山名八幡宮境内への出店など、多様な活動を通じて関係を築きました。

そして、そんな両者を今回の新たなコラボレーションに導いたのが、「山上碑(やまのうえのひ)」です。この碑は、山名八幡宮が鎮座する八幡山にあり、1300年前に建立された現存する日本最古の石碑と言われています。長利という僧侶が亡き母を偲ぶために建立したこの碑に刻まれているのは「母為記(ははのためにしるす)」という文字。母と子の特別な関係性は、時代を超えても変わらぬ大切なものであることを、私たちに教えてくれます。また、この碑は、国や県ではなく地域の住民によって守られてきたという歴史が評価され、2017年、ユネスコ「世界の記憶」にも登録されました。
こうした系譜を未来に残すため、保全プロジェクトを立ち上げていた山名八幡宮と、「母のために」という共通のルーツを持つOSAJIの想いが共鳴し、特別なコラボレーションが実現したのです。

想いをかたちに——「BAR SOAP TSUNAGU」誕生秘話。

「BAR SOAP TSUNAGU」完成までの道のりは、約1年にわたりました。茂田は、今回のプロジェクトテーマについて「母と子がつながっているということを認識する機会をつくることだった」と話します。
このテーマへのこだわりはまず、「2つセット」での贈り物という形につながりました。ここには、母へのプレゼントで完結するのではなく、自分にも贈ることで、使うたびにお互いを思い合う時間を作りたいという想いが込められています。
そしてそれは、数あるスキンケア製品の中でも固形石けんに着目した理由にもつながります。

「“手”は母と子をつなぐ象徴的な存在です。手を洗う行為は、老若男女問わず日常の一部にある。固形石けんならではの、手に取り丁寧に泡立てる所作を重ねることで、つながりを思い出す時間を創出できるのではないか──」(OSAJIブランドディレクター 茂田正和)
また、大切な人との絆を思い出しながら、心を落ち着かせるひとときに寄り添えるように、香りは国産のヒノキ精油を配合。パッケージと固形石けんの色は「赤らむ肌」をイメージしたスキントーンで、あたたかみを感じる仕上がりに。こうした想いが幾重にも重なり合いようやく完成した「BAR SOAP TSUNAGU」は、山名八幡宮で母子の絆と健康を願ったご祈祷が捧げられ、祈祷証明書を同封。最後に、2つのパッケージを人と人を結びつける意味合いを持つ水引で丁寧に結びました。


さらに製造は、障がいを持つ人の完全社会参加と経済的自立を目指して活動する石けん職人集団「ねば塾」に依頼。プロジェクトが進むにつれ、「障害を持つ子供を支援することは、その親を支援することでもあるのではないか」という考え行き着き、同じ想いを持つねば塾さんとの協業が実現しました。1300年前の僧侶と母の関係性を起点とし、「母」と「子」の多様なかたちが交わることで、世界に一つの「BAR SOAP TSUNAGU」が誕生したのです。
製品発表会で見出した「コト消費」時代の神社の役割。



先日開催された製品発表会では、「BAR SOAP TSUNAGU」のお披露目に合わせて、山名八幡宮が群馬から都内の会場へ“出張”。母と子の健やかな未来を願う祈願祭が厳かに執り行われました。

「BAR SOAP TSUNAGU」を囲み盛り上がっていた会場も、宮司である高井さんがこの日のために記した祝詞を奏上すると、一瞬にして神聖な空気に。ご祈祷が終わると、手書き御朱印の授与や、巫女による御鈴祓い、山名八幡宮のパン屋「PICCO LINO」特製の山名焼きが振る舞われました。



また、OSAJIブランドディレクターであり『食べる美容』の著者でもある茂田が、花粉が気になる季節のケアにも最適で、⼭名⼋幡宮の氏子地域、木部町の名産である「ごぼう」を使った特製スープを提供。
子連れのお客様も多く訪れ、神社が地域の憩いの場として賑わっていた光景がよみがえるような、そんな温かく心地よい空間となりました。

今回の発表会が、「神社の役割」を改めて見出す貴重な機会だったと高井さんは語ります。
「消費のあり方が“コト消費”へシフトする中で、付加価値を付けられることが、神社のあり方の一つなんじゃないかと。例えば、ご祈祷や水引で結んだりして、大切な意味を添える。今回のプロジェクトでは、プロダクトの企画段階から神社が関わり、細部まで本質を探求することができたのは面白いなと思います。日本が持つ歴史や物語も、付加価値として乗せていくことで、海外にも届く可能性があるんじゃないかと感じています」(山名八幡宮27代宮司 高井俊一郎)

時を超えて受け継がれる想い。コボレーションを通じて目指す先とは。
今回のプロジェクトで、山名八幡宮とOSAJIが目指したのは、単に石けんをつくることではありません。「BAR SOAP TSUNAGU」というプロダクトを通じて、1300年前に建てられた山上碑が伝えてきたメッセージを、現代に生きる私たちへと届けることでした。
すべての人が母から生まれ、それぞれに母と子の物語があります。それは、時代を超えて受け継がれる無償の愛や感謝の心。そして、その想いこそが、1300年もの間、人々が大切に守り続けてきたものなのかもしれません。
この「BAR SOAP TSUNAGU」が、人と人をつなぎ、大切な想いを未来へと結ぶきっかけとなりますように。この想いを込めて、わたしたちはこのプロジェクトを発信します。

PROFILE
高井俊一郎
山名八幡宮第27代宮司
1998年國學院大学文学部神道学科を卒業後、神社修行とオーストラリア留学を経て2002年山名八幡宮に奉職。神職として地域と向き合いながら、民生児童委員を経て2007年には高崎市議会議員選挙に初当選。2期務めた後、早稲田大学大学院で公共経営修士を修了。2019年には群馬県議会議員初当選し、高崎を活力のあふれる「創造都市」へと推進中。男子3人の父親でもあり、高崎まつり実施本部長や高崎青年会議所の理事長、地元のPTA会長、高崎市PTA連合会副会長も務めた経験もある。
山名八幡宮
群馬県高崎市山名町に位置する安産・子育ての宮。室町時代、後醍醐天皇の孫「親王」が、城主「世良田政義の娘」との間に出来た子の安産祈願をしたことが広く伝わり、多くの家族が祈願に訪れている。「ハレの日」はもちろん「日常の場」としても人々が集まる神社を目指し、2015年には第一線で活躍する建築家やデザイナーと共に社殿や授与所をはじめ、社紋やお守りなどをリニューアルし、2017年にグッドデザイン賞を受賞。その他、お母さん同士が子どもを連れて話せるキッズ・マタニティカフェ「mico cafe」や天然酵母と国産小麦を使ったパン屋「PICCO LINO」、発達障害支援施設など多岐に渡る取り組みを行っている。
https://yamana8.net/
TO MOTHER -山上碑保全プロジェクト- https://yamanouehi.net
茂田正和
株式会社OSAJI 代表取締役 / OSAJIブランドディレクター
音楽業界での技術職を経て、2001年より化粧品開発者の道へ進み、皮膚科学研究者であった叔父に師事。2004年より曽祖父が創業したメッキ加工メーカー日東電化工業の化粧品事業として多数の化粧品を開発、健やかで美しい肌を育むには五感からのアプローチが重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI(オサジ)』を創立しディレクターに就任。2021年にOSAJIの新店舗としてホームフレグランス調香専門店「kako-家香–」(東京・蔵前)、2022年にはOSAJI、kako、レストラン『enso』による複合ショップ(鎌倉・小町通り)をプロデュース。2023年、日東電化工業の技術を活かした器ブランド『HEGE』を手がける。著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)。2024年2月9日『食べる美容』(主婦と生活社)出版。
https://shigetanoreizouko.com/
〈Product〉
【LIMITED】
BAR SOAP TSUNAGU
90g×2 / 2個セット ¥3,850(税込)
母と子をつなぐ、母の日に向けたギフト「BAR SOAP TSUNAGU」(石けん)
“母への手紙”が刻まれる現存する日本最古の石碑「山上碑」の保全プロジェクトに取り組む山名八幡宮と、開発者が皮膚トラブルを起こした母に化粧品をつくったところから始まったOSAJIが、「母への想い」という共通項をきっかけにコラボレーションが実現しました。
うるおいを守りながらさっぱりと洗い上げる、ヒノキ香る固形石けん。
グリセリンをたっぷり配合することでうるおいを守りつつ、天然のミネラルを豊富に含んだレッドクレイを配合することでさっぱりとした洗い上がりに。顔にも身体にもお使いいただけます。
ボックスと石鹸のカラーは、繋ぎ合わせた母と子の手をイメージした温かみを感じるカラーに。
母と子が同じものをそれぞれ使い、互いを思いやる心を大切に感じられるように、水引で結んだ2個セットで販売いたします。一つは母に、一つは子である自分にお贈りください。また、箱には母と子をつなぐ願いを込めて、山名八幡宮で健康と感謝を祈った祈祷証明書を一枚ずつ同封しています。
※水引は一つひとつ手作りでおつけしておりますため、梅結びのほか、結び飾りが異なります。
<香り>
日本人とも馴染みが深く、神聖な木として神社の建材にも使用されているヒノキの香りを採用。
どこか懐かしく感じられるヒノキの香りは大切な人との絆を思い出し、心を落ち着かせるひとときに寄り添います。
4月23日(水) 数量限定発売
取扱店:OSAJI 高崎OPA店、OSAJI 東京グランスタ店、山名八幡宮、山名八幡宮オンライン授与所