▼夏バテで食事が偏りがち、肌にも影響が。いま必要な栄養とケアとは?

肌や髪をより健やかに美しく整えたいと思ったその時に、寄り添うことができるのが美容という術であり、皮膚科学からのアプローチ。

“自分らしいあり方”を自分で見つけて、愛でるためのお手伝いを。肌の外側からはもちろん、内側からのケアの大切さを提唱するOSAJIディレクター 茂田正和が、さまざまなお悩みにお答えします。


食欲がない夏こそ要注意。肌の健康に必要な栄養を効率よく補って。

Q.
美肌づくりには栄養面も大事とわかっていても、夏は食欲が落ちてさっぱりしたものや軽食で済ませがちです…

A.
人の体にとって必要な五大栄養素は、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル。ですが、「自分に必要な量を1日3食で全て満たすのは大変」という方は多かったりします。そういう時は、無理せずサプリメントを活用しても良いと思います。ただ、夏バテなどで食欲不振ぎみの時に、1日の必要量を食事から摂るのが一番大変なのはタンパク質。最近は、プロテインドリンクも動物性だけでなく植物性のものもありますし、中でもパンプキンシードのプロテインはミネラルや食物繊維も豊富でおすすめです。プロテインが苦手な方だとしたら、近くのスーパーで買えるような、水切りタイプのギリシャヨーグルトも少量で良質なタンパク質をしっかり摂れて良いと思います。脂質を抑えた高タンパク質タイプのものだと取り入れやすいのではないでしょうか。

タンパク質が分解されたアミノ酸をサプリで摂るメリットは?

プロテインでも消化の負担を感じてお腹が張ったり、もともと乳製品が苦手という場合には、タンパク質が分解されたアミノ酸の状態で摂るというのも、より体の隅々まで行き渡りやすいので食欲不振の時にフィットしている方法と言えそうです。

アミノ酸のサプリメントにはさまざまな種類がありますが、僕が飲んでいるのはL-シトルリン。L-シトルリンはキュウリやスイカに多く含まれているアミノ酸です。血流をはじめ体内の巡りをサポートすると言われているので、試しに飲み始めたら、僕の場合は体重の変化を感じました。カプセルやパウダーなど、ドラッグストアとかで手頃に買えるものが結構ありますよ。L-シトルリンは一度に摂るよりも1日に少量づつ摂取する方が体内で効率良く働いてくれるので、僕はパウダータイプをペットボトルのお水に溶かし、1日数回に分けて飲んでいます。多忙で食事からタンパク質をしっかり摂るのが難しい時や、夏場で食欲が落ちてしまっている場合には、こんな風に水分補給をしながら肌のうるおいに関わるアミノ酸補給をするのも一つの手だと思います。


20代半ばの肌に、エイジングケアがまだ不要な理由。

Q.
25歳になり、目元に乾燥を感じるように。そろそろエイジングケア用の化粧品を使った方が良いでしょうか。

A.
目元用のエイジングケアというと、シワを防ぐようなアイクリームやアイセラムをプラスしたいということだと思いますが、25歳という年齢で「お肌の曲がり角」を感じるのは少し早いように思います。東洋医学における最古の医学書、中国の『黄帝内経』では、女性は7の倍数が体の変化を感じる節目と言われています。その定義からすると、「お肌の曲がり角」が訪れる年頃は28歳あたり。なので28歳を過ぎた頃から、少しずつエイジングケアの化粧品を意識しだすくらいで良いのではないでしょうか。25歳は、人によってはまだ皮脂分泌が活発な年齢。目元は皮膚が薄く乾燥を感じやすい部分ではありますが、高価なエイジングケアの化粧品を追加する前に、いくつか試してみて欲しいケアがあります。

まず、目元に限らず乾燥してカサついている肌の角層には、水分保持力やバリア機能の低下が起こっています。となると、できることは①クレンジングや洗顔料を洗浄力のマイルドなものに変えてみる ②顔を洗ったり拭く時は摩擦に注意して優しく押さえる ③紫外線も肌の乾燥を進行させるので目元まできちんと日焼け止めを塗ってプロテクトする、などが考えられます。同時に、肌のうるおいに必要な栄養を充実させるインナーケアも大切です。アウターケアとインナーケアを見直し、基本のケアをきちんと積み上げて肌の基礎体力がしっかりすれば、健康体の女性において25歳でエイジングケアを始める必要はないはずです。



代謝の変化を感じ始めたら、エイジングケアの始め時。

Q.
エイジングケアが本当に必要になってくるタイミングの見分け方は?

A.
25歳という年齢は、ダメージに対する肌の修復スピードがまだまだ早く、通常のスキンケアで肌に合った保湿を継続していれば、乾燥によって目元の小じわが定着してしまうようなことはないので、そこまで不安にならないで大丈夫です。また、肌の水分量の維持をサポートするインナーケアとしても、アミノ酸がおすすめです。体内のアミノ酸が不足すると角層の水分保持機能が低下し、硬くごわつくインナードライ状態になります。アミノ酸が充実していれば、角層がスポンジのように水分を抱え込めるようになり、しなやかでふっくらとした肌になっていきます。

エイジングケアを始めるなら、早くとも28歳を越えたあたりからで良いと先ほど述べましたが、本当にエイジングケアの化粧品が必要になってくるのは、食生活でタンパク質やアミノ酸の摂取をしっかり心がけ、基本的なスキンケアをしていても、光老化(紫外線による肌老化)などによるダメージの修復が追いつかないようになってくる時です。具体的に言うと代謝が落ちてくる30代、とりわけ、女性ホルモンの分泌がピークを越えて減少に傾く35歳あたりからは、エイジングケア化粧品でのサポートを視野に入れることをおすすめします。

※サプリメントは、バランスの良い食事を基本とし、不足しがちな栄養素を補う目的で活用することをおすすめします。体質や体調には個人差がありますので、気になる症状がある場合は専門家にご相談ください。


PROFILE

茂田正和

株式会社OSAJI 代表取締役 / OSAJIブランドディレクター

音楽業界での技術職を経て、2001年より化粧品開発者の道へ進み、皮膚科学研究者であった叔父に師事。2004年より曽祖父が創業したメッキ加工メーカー日東電化工業の化粧品事業として多数の化粧品を開発、健やかで美しい肌を育むには五感からのアプローチが重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立しディレクターに就任。2021年にOSAJIの新店舗としてホームフレグランス調香専門店「kako-家香-」(東京・蔵前)、2022年にはOSAJI、kako、レストラン『enso』による複合ショップ(鎌倉・小町通り)をプロデュース。2023年、日東電化工業の技術を活かした器ブランド『HEGE』を手がける。著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)。2024年2月9日『食べる美容』(主婦と生活社)出版。


interview : Kumiko Ishizuka

SHARE