乾燥肌で赤みが出てしまうとき  #水分保持とタンパク質摂取 |第1回

“美しさ”は、誰かと比べるものでもなければ、競うものでもありません。けれど、何が何でも今の在るがままの自分を認めなくても良い。

あなたが自分の美しさを発見していく時に寄り添うことができるのが、“美容”という術であり、“皮膚科学”という分野です。

誰よりも、自分が自分の美しさを見つけられるように。愛でられるように。

今回からは、OSAJIディレクターの茂田による、実際のお悩み肌処方をお届けします。


第1回目のお悩みはこちら。

◆Question

相談者/ Yumiさん 

「乾燥肌でアトピーがあり、肌の赤みが気になっています。素肌を綺麗にするには、どうしたら良いでしょうか?」

34歳/フリーランス ライター/2児の母/幼少期からアトピー気味/食生活は菜食中心のフレキシタリアン

◆Answer

茂田

「“乾燥による赤み”といっても、出ている部位や出方によっても、いろいろな原因が考えられます。

Yumiさんの場合は、乾燥時期になると赤みが強く出てしまう、ということですね。

その場合、もうすでに肌が炎症を起こしてしまっている状態なので、対処していくプロセスは、以下の2つあります。

①アウターケア ⇨ 角質層が水分をしっかりキープできる肌環境を整えること。

②インナーケア ⇨ タンパク質をしっかり摂取すること。

それぞれ詳しくお話しします。

①アウターケア ⇨ 角質層が水分をしっかりキープできる肌環境を整える

まずは、①のアウターケアについて。

最初に、肌の構造を少しみてみましょう。

健やかな肌状態の場合、肌の最上階である“角質層”のなかにある“細胞間脂質=アブラの膜”が、ゼリーのように水分をキープしている角質細胞の周りを取り囲んで、水分の蒸発を防いでいます。

でも、Yumiさんの場合は、肌の角質層が何らかの原因で傷ついて、その“アブラの膜”をつくる力が弱まってしまい、水分保持ができていない状態です。

その原因は、遺伝的なものもあれば、ホルモンバランスの乱れや極度のストレス、極度の乾燥など、さまざま。

また、角質層が傷ついていると、角質層の中に侵入したアレルギー物質を追い出そうと、一般的に28日周期といわれるターンオーバーが早まってしまうことも考えられます。

ターンオーバーは遅いとくすみやザラつきになりますが、実は早過ぎてもダメ。まだ未熟な若い細胞が角質層となってしまい、肌の表面がもろく弱い状態になってしまうのです。

●対処法/炎症状態なら、二次被害を防ぐことが最優先!“ワセリン”がベスト。

そんな状態の時に一番有効なのは、とにかくアレルギー物質や刺激物の肌への侵入を防ぐこと。
具体的には、すでにかゆみや赤みなどの炎症を起こしてしまっているYumiさんの場合は、“ワセリン”を塗るのが一番です。
ちょっとカサついてむずむずするな?くらいの状態なら、化粧水+乳液でも大丈夫。

逆にやめた方がいいのは、植物油。
マカダミアンナッツオイルなどの植物オイルにはタンパクが含まれる場合があって、そのタンパクがアレルゲンとなってより悪化させてしまうことがあります。

肌を弱酸性状態に保っておくことも重要で、日中に弱酸性のスプレーを持ち歩くのもおすすめです。

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②インナーケア ⇨ タンパク質をしっかり摂取する

次に身体の内側からのケアを。

“タンパク質”は、人間の身体には必須の栄養素です。

美容のスタートは、身体が必要なタンパク質量を満たしてから。

タンパク質がしっかり分解吸収されることによって、身体の中から正常な角質層がつくられていくのです。

タンパク質を摂り始めると、2〜3日で肌が改善し始めることも多いです。

しかし、1日に必要とされるタンパク質量は、例えば体重50kgなら50g。この量を摂取するには、鶏肉なら毎日250g食べることが必要で、毎日その量を摂取するのは、なかなか難しいですよね。

Yumiさんは、肉魚をときどきいただく菜食中心とのことなので、以下の対処法はいかがでしょうか。

●対処法/植物性プロテインを生活に取り入れて、タンパク質摂取を。

普通に肉魚を摂取していても不足してしまう“タンパク質”は、プロテインで補うのが良いと思います。

中でも僕がおすすめしているのは、「そら豆のプロテイン」と「パンプキンシードのプロテイン」。どちらもアレルギーが出にくく、生活に取り入れやすい。水で溶いて飲むだけでなく、料理に使用することもできます。

卵が食べられれば、1日1〜2個卵を食べるのも、タンパク質を構成するアミノ酸のバランスが良く、ホルモンや細胞膜、細胞間脂質の原料となるコレステロールを含んでいるので、美容には最適です。

また、マグネシウム摂取は細胞間脂質の合成を促進させるので、効果があるかもしれません。白身魚や海藻など海の食べ物を摂ると良いですね。最近はサプリも充実しています。

マグネシウムは、食べるだけでなく外側からの摂取も良いので、エプソムソルトを湯船に入れて入浴するのもおすすめです。

最後に、肌の潤いを保つためには汗由来のミネラルや尿素も必要なのですが、アトピー体質の人は、その成分が極端に不足していることが多いんです。

例えば、マルチミネラルのサプリを飲んでサウナに入り汗をかくと、その汗から肌の水分保持に必要なミネラル分が、汗腺から毛細血管へ補充されます(汗の再吸収と呼ばれるしくみ)。

ダラダラ汗をかかなくても、じんわり汗をかくだけでも違いますよ。

とはいえ、体質や原因によって、どの方法が効果が高いのかは分かりません。自分で色々と試してみてくださいね。


茂田正和

OSAJI ディレクター。音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に 師事し、敏感肌でも安心して使える化粧品づくりを追究する中で、感性を育む五感からのアプ ローチの重要性を実感。2017年、スキンケアライフスタイルブランド『OSAJI』を創立しディレクター に就任。2021年にOSAJI店舗に併設のホームフレグランス調香専門店「kako-家香-」(東京・蔵前) が好評を博し、2022年には香りや食から心身の調律を目指す、OSAJI、kako、レストラン『enso』に よる複合ショップ(鎌倉・小町通り)をプロデュース。2023年は、日東電化工業の技術を活かした器 ブランド『HEGE』と、HEGEで旬の食材や粥をサーブするレストラン『HENGEN』(東京・北上野)を 手がけた。著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)。