▼肌が喜ぶ料理の話『紫外線』山うどと砂肝のアヒージョ | 第7回

ブランドディレクターという僕の仕事。商品のアイディアを出してコンセプトを決め、ネーミング、容器選び、デザイン、処方開発をそれぞれのチームと進めていきます。ブランド全体の世界観やビジョンを決めることもしますし、お客さまとのコミュニケーションの方法も考えます。

スタッフからは「アイディアは枯渇しないのですか?」と時々聞かれますが、これが不思議と尽きないのです。僕自身もよくわかっていない、そんなアイディアの根源をお届けできたらと思います。たわいもない話ですが、お付き合いいただけたら幸いです。

今回は番外編として、この時期気になる紫外線対策への料理アプローチについて、Q&A形式でお届けしていきます。

OSAJI ブランドディレクター
茂田正和


第7回

肌が喜ぶ料理の話
『紫外線』
山うどと砂肝のアヒージョ


穏やかなぽかぽか陽気はほんのつかの間、春の陽射しは瞬く間に初夏から夏の眩しさをまといはじめます。もちろん、それにともなって紫外線量も上昇。紫外線によるダメージが肌の奥深くまで及ばないようにするには、日々UVケアに励むと同時に、食からのインナーケアもぜひ習慣に。今回は、透明感のある肌を保つのに役立つ食材を、食欲をそそるアヒージョに仕立ててご紹介します。


抗酸化力に優れたうどと、血液の質を上げる砂肝で透明肌を保つ


—— 紫外線のダメージを受けにくい、透明感のある肌を保つためには日頃からどんな栄養素を摂っておくと良いのでしょうか?

植物が自らを守るために生成する抗酸化物質、ポリフェノールを含んだ食材をたっぷり摂ると良いですね。紫外線を浴びるとまず活性酸素が発生し、その活性酸素によって細胞が酸化することでメラニン生成が誘発されるので。


—— 紫外線対策といえばとにかくビタミンCを摂るべし! なイメージを持っていました。

確かにビタミンCやビタミンEも、抗酸化作用を持ったビタミンです。ただ、苦みや色素に含まれるポリフェノールは、より強力に活性酸素を消去してくれるんです。今日使ったうどをはじめ、ふきのとうやタラの芽など、苦みのある春の山菜はポリフェノールが豊富なことで知られています。それから最後にのせた大葉の独特な香りもポリフェノールの一種です。


—— ちゃんと陽射しが強くなる春に合わせて、強い抗酸化力を持った山菜がたくさん採れるのですね。

自然って、良くできていますよね。うどは苦みが強すぎず食べやすい山菜ではありますが、調理の際にはアク抜きをします。とはいえ、このアクが苦みでありポリフェノールなので、アク抜きの時間はあまり長く取らないほうがポリフェノールをしっかり摂れます。


—— メラニンの過剰な生成を抑えるのがうどのポリフェノール、そうなるともう1つの具材、砂肝はどんな美容効果があるのでしょうか。

砂肝は、ビタミンB12を豊富に含んでいる食材ということで選びました。レバーやハツでも良いと思います。砂肝には鉄分も含まれていて、ビタミンB12と鉄分は血液づくりに欠かせない栄養素です。とくにビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないので、動物性食品から摂取する必要があります。


—— 鉄分不足が貧血傾向を招くことは広く知られていますが、ビタミンB12も重要なのですね。

ビタミンB12は、葉酸というミネラルとともに赤血球中に酸素を運ぶヘモグロビンを作りだします。4月〜5月は、気温や湿度の変化に、社会的な環境の変化も重なる時期。なにかと自律神経の乱れが起きやすいタイミングなので、酸素と栄養を隅々まで運ぶ血液を充実させたい。そのためには、ビタミンB12をしっかり補っておきたいところです。


—— 血液がいきいきと巡っていないと、顔色が悪くなったり、肌荒れなどが起きた場合も治りが悪くなってしまいますよね。

そう、ビタミンB12には脂質の代謝を促す働きもあります。また、砂肝には新陳代謝を活発にする亜鉛も含まれています。ニキビができやすかったり、肌荒れに悩んでいる場合は、野菜や果物を摂ることも大事ですが、肉や魚介類からビタミンB12を鉄分や亜鉛などと一緒にきちんと補えているかどうか、一度見直してみてくださいね。



山うどと砂肝のアヒージョ


【材 料】

  • 砂肝
  • にんにく
  • 大葉
  • うど
  • アンチョビペースト
  • 塩・白胡椒・黒胡椒
  • オリーブオイル


【つくりかた】

砂肝はひと口大に切り、軽く切り込みを入れてから塩と白胡椒をなじませておく。

にんにく一片を擦りおろしてオリーブオイルを合わせ、砂肝を約10分漬け込んでマリネする。

うどは短冊切りにしてから酢水に10〜15分つけてアクを抜く。大葉は千切りにしてから水に10秒ほどさらし、すぐにざるに上げて水を切る。

アヒージョ用のオリーブオイルに、みじん切りにしたにんにく、適量のアンチョビペーストを入れ、弱火で砂肝からゆっくりと火を入れていく。

ふつふつと煮立ってくる一歩手前の火加減を保ち、約10分ほど経ったらしっかり水を切ったうどを入れる。うどにも火が通ったら千切りにしたシソを盛り付け、黒胡椒を降って完成。


【POINT】

味の決め手は砂肝の漬け込みと、うどのアク抜き。

旨みの移ったアヒージョのオイルとしそに、パスタを茹でて絡めれば、香り豊かなもう一品「アーリオオーリオ」の出来上がりです。排水口から流れると環境への負荷が大きい食用油。紙に吸わせる、凝固剤で固めるなどの廃棄方法もありますが、人の体は油分の処理能力が高いので料理での再活用がおすすめです。


PROFILE

茂田正和

株式会社OSAJI 代表取締役 / OSAJIブランドディレクター

音楽業界での技術職を経て、2001年より化粧品開発者の道へ進み、皮膚科学研究者であった叔父に師事。2004年より曽祖父が創業したメッキ加工メーカー日東電化工業の化粧品事業として多数の化粧品を開発、健やかで美しい肌を育むには五感からのアプローチが重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI(オサジ)』を創立しディレクターに就任。2021年にOSAJIの新店舗としてホームフレグランス調香専門店「kako-家香」(東京・蔵前)、2022年にはOSAJIkako、レストラン『enso』による複合ショップ(鎌倉・小町通り)をプロデュース。2023年、日東電化工業の技術を活かした器ブランド『HEGE』を手がける。著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)。202429日『食べる美容』(主婦と生活社)出版。
https://shigetanoreizouko.com/


Interview:Kumiko Ishizuka

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