▼enso Dinning @錦山窯 | 第５回

OSAJIが鎌倉に展開する〈enso〉。
調香専門店とショップを併設するこのレストランでは「鎌倉野菜を主に旬の食材、自家製の発酵食品や調味料を使った創作料理のコース」を季節ごとにメニューを変えて提供しています。

この連載では、食材、調味料、調理方法などに対しての自分の想い、そして、ご家庭でも取り入れやすいレシピやワンポイントなどもご紹介していきます。〈enso〉の料理やコンセプトを感じていただけたらと思っています。

ensoシェフ
藤井匠

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第５回
enso Dinning @錦山窯 

春から半年間の準備を経て。

10月26・27日に石川県小松市にある九谷焼の窯元、錦山窯にて「enso Dinning 」を開催いたしました。  

この日は錦山窯のギャラリー嘸旦の六周年及び、人間国宝である「錦山窯」三代目吉田美統さんが小松市名誉市民の称号を賜ったお祝いの会です。  

そのような式日にお料理を担当させていただき、大変光栄でした！  

このイベントに先立ち今年の春に石川県を訪れ、現地の市場や地元のレストラン、畑やジビエ加工場を見学しイベントに向けてお料理のアイディアを練ったり、気持ちを整え半年間準備しました。  

※5月に執筆した「ノドグロと魚醤 | 第２回」はこの時のレポートです。  

小松市に伺うのは今回で３回目なのですが、街を車で走ってみると田んぼが多くのどかな雰囲気である一方、北陸新幹線が小松駅まで開通し、駅前は深夜まで賑やかな街という印象です。  

そして何よりもいたるところに九谷焼を扱う看板があり、ホテルのアメニティは九谷焼の湯飲みだったり近隣の飲食店には九谷焼作家さんの作品が展示されていることも。 

伝統工芸が小松の街に根付いている光景がとても新鮮でした。  

錦山釜でのイベントと、心温まる出会い。

イベントでは二日間で計40名弱のゲストに7品のコース料理を振舞いました。  

石川県固有の加賀野菜や近海の魚介、お米を現地で仕入れ、今年の春から発酵させてきた石川や鎌倉の食材も準備万端です！  

イベント中は四代目 幸央さんや奥様のるみこさんによる器の解説と共に僕はお料理を提供し、ゲストと共に僕もとても良い経験をさせていただきました。  

普段鎌倉では幸央さんの息子さんにあたる吉田太郎さんの器にお料理を盛り付けているのですが、今回のイベントを通して、僕は親子三代にわたる作品にお料理を盛り付けてることに気付き、なんとも不思議で嬉しい気持ちになりました。  

小松滞在中の四日間は吉田家と共に過ごし、そのおもてなしに触れ、「これからもこのご縁がこれからも続いてほしい」と心から思いました。

そんな暖かい気持ちと共に鎌倉に持ち帰ったのは、現地の市場で見かけて購入しイベントでも使用した香り高い天然舞茸から着想を得た調味料のアイディア。  

天然舞茸が出回らない鎌倉で香り高いキノコ料理を作るために舞茸とフルーツトマトに麹を混ぜ込んで醤（ひしお）を仕込みました。  

一年寝かせて来年の秋、キノコ料理に使う予定です。  

どうぞお楽しみに！

< enso dining ディナーメニュー >
全7品

発酵鎌倉蕪
発酵鰤大根
発酵鴨葱　発酵加賀蓮根
発酵大根鰤　enso産発酵柚子
発酵猪
発酵ノドグロ　小松産発酵大豆
五郎島金時　林檎　シナモン

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PROFILE

藤井匠

enso シェフ

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