2023.11.30

『純米富士酢』 | 心と体が喜ぶ、わたしの調味料


『純米富士酢』

心と体が喜ぶ、わたしの調味料

レストランのディレクション、出版した書籍では献立の指南と、趣味を越えた料理好きからさらに一歩踏み出したOSAJIのブランドディレクター 茂田正和が、愛してやまない調味料のひとつ。昔ながらの製法でつくられたお酢を使うことで得られる豊かさ、おいしみの広がりを語ります。


「自分でお寿司を握ってみよう!」
好奇心から上質な酢に目覚めて

僕が一番大好きな食べ物といっても過言ではないお寿司。あまりにも好きで、最近は四十の手習いとしてお寿司を握り始めました。今では日曜日の朝にネタを仕入れに行って、夕方にはシャリを用意して夜にお寿司を握るという感じです。

そもそもお寿司のどんなところが好きなのだろう?とあらためて考えたとき、“酢飯”つまりシャリとネタとわさびのバランスを楽しんでいるのだと再確認しました。中でも“シャリの香り”というのは非常にウェイトが大きくて、その香りの鍵を握っているのはお酢です。それで、いろいろ試す中でこの『純米富士酢』を使ってシャリを仕込んだとき、これはシャリの概念が変わるなと思いました。自分が大好きなお寿司屋さんの、あのシャリの香りになったのを実感したのです。

シャリをつくるときの寿司酢は、僕の場合、『純米富士酢』をメインに赤酢と昆布粉を少し混ぜ、あとは塩や砂糖を少々加えて味を整えます。日本の醸造の技術は本当にすごいな、と思います。

この『純米富士酢』を使うと、一般的なお酢を使ったときとは香りのフルーティさが段違いです。酸味もマイルドなので、シャリだけ食べてもおいしいと思えるほど。このお酢は、ハチミツとの相性もすごくいいですね。お酢に含まれるクエン酸や酢酸は、肌のpHコントロールにも重要な役割を成す成分でもありますし、自分で酢の物をつくるときは『純米富士酢』とハチミツを合わせるのですが、これだけでとても美容効果の高い一品になります。

本物の酢に宿る香りと味わい
体や心に対するエフェクト

古来の醸造プロセスを経てじっくりと熟成されることで、風味豊かに仕上がった『純米富士酢』。お酢って、餃子を食べるときにちょっとタレに足すとか、わりと脇にまわる調味料になりがちですが、いいお酢に出会うとお酢の風味を楽しむ調理をしたくなります。

贅沢な使い方ではありますが、しめ鯖などに使っても歴然とした違いを実感できます。しめ鯖は、臭みを打ち消すように酸味がキンと立っているものもかなり多いので、以前はさほど好きではなかったんです。ところが、この『純米富士酢』を使って青魚をしめてみると、魚の香りをほどよく残しながらコクを増してくれるような仕上がりに。

僕の中で包丁を研いだり、指先に意識を集中させて寿司を握るという行為は“メディテーション”に近いものがあるのですが、そこにこのお酢のまろやかな香りがいてくれると、一層調理中の癒しの効果が高まる気がします。

魚をしめ、シャリを握り、香りを呼吸から取り入れる、そのプロセスで心身ともに清められて整っていく時間がとても好きです。まだまだプロのお寿司屋さんのように握るには練習が必要ですが…。

添加物が使われていない国産の醸造酢は、健康効果はもちろん、料理道具に与える効果も本物。寿司桶やおひつは、昔から洗剤で洗ってはいけないと言われています。使用後にお湯を張って少量のお酢を入れて2~3時間置いてから水洗いし、水気を拭くだけでいいのです。洗剤を使わずともお酢でアクが取れ、カビを防ぎ、丈夫で長持ちするようになります。木製のまな板も同じで、魚を捌いた後には生臭さなどが残りますが、お酢を含ませた布巾で拭くだけで中和されて臭いが取れ、雑菌の繁殖も防げます。家族が食べるものを調理するために使う道具は、口に入っても安心なもので衛生的に保てたらそれがベストですよね。みなさんも、上質なお酢を使うメリットをぜひいろいろな局面で体感してみてください。

〈純米富士酢〉

明治26年に創業された飯尾醸造が、当時から変わらぬ製法で造り続けている看板商品。地元である京都・丹後の山里で栽培期間中 農薬不使用にて栽培された米と山の湧き水のみを原料とし、自社の蔵で杜氏が醪(もろみ)を仕込み、その醪から古式「静置発酵」と「長期熟成」を経て完成させる純米酢。
https://www.iio-jozo.co.jp

text_Kumiko Ishizuka