▼わたしと色の、ちょうどいい関係。 | 第11回
OSAJIメイクアップアーティストとして、日々お客さまへのメイクレッスンや
スタッフのトレーニング、撮影、メイクアイテムの開発などに携わっています。
また、インスタLIVEやメイクイベントを通じて、OSAJIのメイクをより多くの方に知っていただく活動も行っています。
私がメイクを通してお伝えしたいのは、“メイクを心から楽しんでもらいたい” 、
そして、メイクには心を動かす力が宿っており、ご自身に留まらず、周囲の方の
「笑顔」も増やしてくれること。
この連載では、その想いをお伝えできたらと思います。
OSAJI メイクアップアーティスト
後藤勇也
色で遊び、色を楽しむ。

新しいメイクコレクションが登場するたびに、新しい色に触れる時間がやってきます。
その色たちを前にすると、「どう使うか」を考えるよりも先に、まずはただ純粋に、「どの位置へ塗布すればおもしろいだろう」と心が動き出すのを感じます。
メイクパターンを考えるとき、私のなかにあるのはいつも、「色で遊び、色を楽しんでほしい」という想いです。
同時に、ひとつひとつの色が持っている魅力や可能性を、できるだけ広げていきたいとも思っています。
たとえば新色がいくつも並んだとき、一つずつ整えていくのではなく、あえてすべてを一度に重ねてみたり、ずらしてみたり。まずは一度、好きな色や使ってみたい色を、思いのままに全部使うくらいの気持ちで向き合ってみる。
そんなふうに、少し大胆なくらいの発想から組み立てていくほうが、クリエイティブな発想が生まれるし、色の可能性を引き出せる気がしています。
実際にのせてみると、ややインパクトが前に出すぎたり、違和感を覚えたり。そこから少しずつ削ぎ落としていくことで、すっと馴染むバランスが見えてくる。
最初から正解に向かうのではなく、一度自由に広げてみること。その過程そのものが、色の可能性を引き出してくれる気がしています。
不思議なことに、その逆の過程で慎重に色を当てはめていくと、決まって全体のバランスに違和感が残ってしまうのです。
コレクションごとのテーマももちろんありますが、生み出されたアイテムそのものが、すでにその世界観を体現しているとも感じています。
だからこそ私は、「その色をどう楽しむか」に、より意識を向けています。
たとえば、リップが印象的なコレクションなら、純粋にリップ1色を際立たせ、その周囲のアイやチークを2、3色重ねて遊びつつ、バランスを確認していきます。そんなふうに、少しだけ視点を変えることで、その色の見え方がぐっと広がる気がします。
メイクをさせていただくなかで、「この色が気になります」というひと言や、ふとした表情の変化。そうした感覚は、メイク設計をするうえで、まだ形になる前のメイクの輪郭と、どこかでつながっているようにも感じています。
思いのままに色をのせて、メイクを楽しむ。

OSAJIのニュアンスカラーは、どんな組み合わせでも、どこかに余白が残る色。
だからこそ、「こうしなければいけない」という正解に縛られず、自分の感覚のままに試してみてほしいと思っています。
いつもなら選ばない色が、その日の気分にふと寄り添ってくれたり、思いがけず背中を押してくれることもある。メイクには、そんな小さな力があると感じています。
トレンドやテクニックは、あくまで選択肢のひとつ。それに当てはめることよりも、少しはみ出してみることのほうが、自分らしさに近づくこともあるのではないでしょうか。
アイホールに収まらないアイメイクだったり、あえて範囲を狭めてみたり、整えすぎないバランスだったり。そんな自由さも、その人らしさとして楽しんでいいものだと思っています。
きれいに収まっていなくてもいい。
整いすぎていなくてもいい。
そのときの自分が心地いいと感じるかどうか。その感覚を、大切にしてほしいと思っています。

PROFILE
後藤勇也
OSAJI メイクアップアーティスト
多数のメイクブランドでのメイクアップアーティスト経験を経て、2020年より「OSAJI」 に入社。社内外のイベントでのデモンストレーションやスタッフの育成に取り組んでいる。OSAJIらしい、その人自身の魅力を惹きたてながら寄り添うメイクが好評。
Interview:Ayumi Oguma