▼2月は揺らぎを抱く| 第11回
花粉症や寒暖差による皮膚のかゆみ。“季節の変わり目”だから、という言葉でつい片づけがちな不快症状に毎年悩まされていませんか? 今回は、精油やハーブなど、植物の力を借りた症状別のケア方法をお伝えします。
1. くしゃみ・鼻水・かゆみが止まらない

花粉症を代表とするアレルギーは、小さな炎症起爆剤を詰め込んだバブルのような“マスト細胞”がカギとなる免疫反応のひとつ。
清潔な現代で活躍の場を失ったマスト細胞は、花粉のような小さな刺激にも、寄生虫などと同じような反応を示すようになりました。呼吸をするたびに侵入する花粉に反応し、バブルがはじけて、ヒスタミンなどの炎症起爆剤(炎症性サイトカイン)をまき散らします。
では、マスト細胞はなぜ炎症を起こすのでしょうか?
それは、炎症の刺激で発生する鼻水・くしゃみ・かゆみなどによって、アレルギー原因物質を体から取り除くことができるから。不快であっても、アレルギー反応には重要な理由があるのです。ただし、過剰にならないように調節することで、春を心地よく過ごすことができますね。
“緑の神”と呼ばれるハーブ“ネトル”は、私達のアレルギー症状をより穏やかに反応させる植物性ヒスタミンや、炎症起爆剤の生成を抑制するケルセチンなど有効成分が豊富に含まれています。これらの有効成分の多くは水溶性ですので、ハーブティーとしていただくのがおすすめ。じっくり10分以上蒸らして、ほっこりする美味しさと効果を感じてみてください。
2. 肌や体のひどい炎症が続く

炎症起爆剤が、皮膚や粘膜にある受容体に入ると炎症スイッチが入ります。炎症は“傷”です。
菌や微生物、時には毒素が侵入する可能性も。そこで血液とともに免疫細胞が集まり、患部は腫脹します。さらに免疫細胞は、敵と闘う武器として活性酸素をまき散らします。活性酸素は、敵を倒すのに大いに役立ちますが、同時に私たちをも傷つけ炎症を助⻑してしまうのです。これが、なかなか炎症が引かない理由のひとつです。
ここで必要とされるのが、ビタミンA・E・Cや、有用色素・不飽和脂肪酸などの抗酸化物質。新鮮な野菜・ハーブ・ナッツ・魚、そして抗酸化酵素を作るためのタンパク質をバランスよく取り入れる必要があります。抗酸化により炎症の連鎖が止まることで、患部は治癒のステップへ移行することができます。
3. 寒暖差による体調不良

人間は原始の時代から、冬場は飢餓に備えつつ、常温動物であるため体温維持のエネルギーが必要です。逆に夏は汗をかき、皮膚の表面温度を下げる必要があります。
では、春はどうでしょうか?
朝晩は寒く、昼間は暖かい。そして紫外線も多い。相反する環境でバランスを崩してしまいます。春は体力が奪われ、“季節の変わり目に体調を崩す”結果となるわけです。特に朝晩の冷えによる血行不良と昼間の汗は、花粉症を悪化させ、皮膚のかゆみのきっかけとなります。
だからこそ春は、1日のバイオリズムの変調を上手に調整しましょう。まずは衣服や室内温度で寒暖差を緩和すること。そして、昼は水分を十分に摂り、朝晩は根菜類など体を温める食材を積極的に取り入れる。自分の体と向き合い、相談していくことが大切になります。
4. 皮膚やのどの渇き

春一番は、ちり・ほこり・⻩砂・花粉やダニなど、皮膚の乾燥を連れてきます。アレルゲンにさらされ乾燥したお肌は過敏な状態です。皮膚だけでなく口腔内の乾燥は、アレルゲン・ウィルス・細菌を気管支へ導いてしまいます。そして目の乾燥は、かゆみ・炎症にダイレクトにつながります。
これらに必要なのは、こまめな水分補給・保湿ケア・紫外線対策の3つ。
紫外線による炎症と乾燥には、日焼け止めや瞳からの紫外線吸収を抑えること、そしてお肌を修復するための栄養補給と抗酸化物質を重視する食生活は言うまでもありません。新鮮な野菜やハーブ、そして低脂肪のたんぱく質を積極的に摂りましょう。中でもローズヒップは、VC・B・A・カロテン・水溶性食物繊維・必須ミネラル・果糖・クエン酸を含むナチュラルな抗炎症サプリメントのような存在。ハーブティーで15分以上蒸らしてジューシーな美味しさを味わってください。
5. 不快症状や睡眠不足からの強いストレス

実は見落としがちで、最も厄介なのがストレス。
抗酸化物質をとっても、紫外線対策をしても、過剰なストレスはアレルギーや過敏症状を加速させます。ストレスは末端の血流を阻害し、酸化させ、ダメージ修復機能を低下させます。末端の血流が悪くなると、免疫細胞が炎症原因を除去することも、抗酸化物質が活性酸素にアタックすることも、傷ついた細胞をデトックスすることも、栄養を届けることもできないのです。
さらに、ストレスは睡眠の質をも低下させます。睡眠は寝入りばなのノンレム睡眠がいかに深くもたらされるかが重要。良質な睡眠は細胞再生能力を格段にアップさせ、ストレスに強い心と体の維持に役立ち、健康的なサイクルに導いてくれます。ここまでお話しした対策とあわせて、適度な有酸素運動や気分をリフレッシュする方法を探してみましょう。
センシティブになりがちな季節の変わり目を
心地よく過ごすための精油レシピ
〈ユーカリスチームタオル〉

ユーカリは気管支の炎症を取り除き、深い呼吸に導いてリラックスするとともに、爽やかな香りが脳をリフレッシュさせ、ストレスからの開放を促してくれます。
– こちらの方におすすめ –
- くしゃみ・鼻水・痒みが止まらない
- 肌や体のひどい炎症が続く
- 不快症状や睡眠不足からの強いストレス
– 材料 –
- フェイスタオル 1枚
- ユーカリ精油 3滴
- 本みりん 小さじ1
- 50〜60度のお湯1L程度(沸騰したお湯500mlに水500mlを足したもの)
– つくり方 –
本みりんのアルコールを飛ばし(600Wレンジで30秒)、ユーカリ精油を滴下する。お湯に加えてよくかき混ぜて、タオルを浸す。冷えを感じる部分や、鼻や口元、首回りにタオルを貼付し、ゆったりと呼吸する。冷めたらお湯に浸し、1回5分までを目安に行う。
– ご注意 –
- 目もとは刺激を受けやすいので、使用しないでください。
- はじめてユーカリ精油を利用する場合は、目立たない場所でパッチテストしてから実施してください。
〈ラベンダーのバスタイム〉

ラベンダーは気管支の炎症を取り除き、深い呼吸に導いてリラックスするとともに、爽やかな香りが脳をリフレッシュしてストレスから開放してくれます。
– こちらの方におすすめ –
- くしゃみ・鼻水・痒みが止まらない
- 肌や体のひどい炎症が続く
- 寒暖差による体調不良
- 皮膚やのどの渇き
– 材料 –
- ラベンダー精油 5〜10滴
- ドライ カモマイルジャーマン 大さじ2
- 不織布のネット 1枚(排水溝用ネットなど)
– つくり方 –
ネットにドライカモマイルジャーマンを入れる。カモマイルジャーマンにラべンダーオイルを滴下し、しっかりと封をする。入浴の5分以上前の浴槽に入れ、浴室全体に精油を拡散させる。気になる箇所がある方は患部にも貼り付ける。
– ご注意 –
- はじめてラベンダー精油を使用する場合は、1%以下の希釈でパッチテストを行う。
- キク科アレルギーがある場合は、カモマイルをリンデンフラワーに変更する。
- 精油を浴槽に使用する場合は、必ず入浴の5分以上前に精油を湯船にいれるようにする。
※ハーブや精油はお薬ではありません。症状が改善しない場合は、医師の診断を受け必要な処置を行ってください。
PROFILE
葉子
ハーバリスト
ハーブスクール&プロデュース ウィズハーブ 代表、NPO 法人日本ハーブ振興協会 主席研究員 、財団法人日本家庭園芸普及協会 グリーンアドバイザー、NHK 学園 ハーブ生涯学習 1 級インストラクター、H15 日本園芸協会 ハーブコーディネイター部門 最優秀成績賞受賞。ハーブ講師として、全国のセミナーや講演会においてハーブを広く普及させるための活動を行う傍ら、ハーブ研究家として各地のハーブガーデンのプロデュースや商品開発、NHKをはじめとするメディア出演、ハーブ専門誌でのコラム執筆などを手がける。